孤独のグルメが初めてテレビに登場したのは2012年1月。松重豊が演じる輸入雑貨商・井之頭五郎は、仕事の合間にふらりと入った店で、誰にも邪魔されずひとりで食事をする。セリフのほとんどない五郎の内なる独白と、丁寧に映し出される料理の映像——その静かなフォーマットは初回放送から視聴者を引きつけ、10年以上にわたるシリーズに発展した。
Season1に登場した10店は、いずれも東京の下町・住宅街・繁華街に実在する店ばかりだ。有名チェーンではなく、地元の常連客が通う個人店が中心——それが「孤独のグルメ」の聖地巡礼が今も続く理由のひとつでもある。
Season1 全話エピソードガイド
第1話|庄助(東京都江東区)
Season1の幕開けを飾る第1話の舞台は、江東区門前仲町の下町エリア。五郎が立ち寄ったのは、焼き鳥・居酒屋の庄助だ。
ドラマでは仕事先に向かう途中で路地に入り込み、看板を見て暖簾をくぐる。五郎が頼んだのはねぎま・なんこつ・砂肝・レバー・つくねなど焼き鳥を多品目にわたって注文し、最後に焼きめしで締める——この「ひとりで好きなだけ頼む」スタイルこそ、以降シーズン全体で繰り返されるパターンの原型だ。
江東区門前仲町エリア。東京メトロ東西線・都営大江戸線「門前仲町駅」から徒歩圏内。
第2話|和食亭(東京都豊島区)
仕事で駒込方面に訪れた五郎が選んだのは、豊島区の和食の定食屋・和食亭。
五郎が頼んだのは煮魚定食に、ひじき煮浸し・ほうれん草のごま和えをつけた構成。派手さはないが、どれも丁寧な家庭料理の味。「こういう店がそこらにあることが重要なんだ」という五郎の内なる独白が、この店を象徴している。
豊島区駒込エリア。JR山手線・東京メトロ南北線「駒込駅」から徒歩圏内。
第3話|中国家庭料理 楊 2号店(東京都豊島区)
第3話はSeason1の中でも特に反響の大きかったエピソードのひとつ。五郎が訪れたのは豊島区・要町エリアにある中国家庭料理 楊 2号店だ。
五郎が頼んだのは汁なし担々麺・焼き餃子(皮も手作り)・拌三絲(バンサンスー)。本場中国の家庭料理を出すこの店は放送後に聖地巡礼者が急増し、今も行列ができることで知られる。「こんなにうまいものがあるとは」という五郎の表情が、視聴者の食欲を一気に刺激した一話だ。
豊島区要町。東京メトロ有楽町線「要町駅」徒歩圏内。
第5話|つり堀 武蔵野園(東京都杉並区)
第5話の舞台は少し変わり、杉並区のつり堀 武蔵野園。釣り堀という非日常的な空間で、五郎がその場で食事をするエピソードだ。
釣りを楽しんだ後、五郎が頼んだのは焼うどん・親子丼・おしるこ。釣り堀の食堂メシというシンプルさが、かえって「食べることの根っこ」に触れるようなエピソードで、Season1の異色作として記憶に残る。
杉並区久我山。京王井の頭線「久我山駅」徒歩圏内。
第6話|みやこや(東京都中野区)
中野区・鷺ノ宮エリアに位置する洋食・定食屋・みやこやが第6話の舞台。五郎が通りを歩いていて自然に吸い寄せられる店として描かれる。
五郎が頼んだのはロースにんにく焼とミックスかつ定食(鶏カツ・豚カツ・キャベツ・マカロニサラダ)。揚げ物をにんにくで食べるスタイルが食欲をかきたて、五郎が「こういう飯をひとりで食べる時間が一番落ち着く」と内心で呟くシーンが印象的だ。
中野区鷺ノ宮。西武新宿線「鷺ノ宮駅」徒歩圏内。
第7話|カヤシマ(東京都武蔵野市・吉祥寺)
吉祥寺エリアで仕事をしていた五郎が足を運んだのは、洋食店・カヤシマ。
五郎が頼んだのはナポリタンとハンバーグ。どちらも日本の洋食喫茶定番のメニューで、吉祥寺という街の「懐かしさとおしゃれさが共存する」雰囲気にぴたりとはまる組み合わせだ。「デミグラスがうまい」という五郎の独白とともに、昭和洋食の魅力を再発見させてくれる一話。
武蔵野市吉祥寺。JR・京王「吉祥寺駅」徒歩圏内。
第8話|つるや(神奈川県川崎市)
Season1唯一の東京都外エピソード。五郎が向かったのは川崎市のつるや——焼肉店だ。
川崎は下町的なエネルギーと多国籍な食文化が交差するエリアで、焼肉激戦区としても知られる。
五郎が頼んだのはカルビ・ハラミ・コプチャン・ジンギスカン・シビレと、種類を幅広く注文する肉の饗宴。「ジンギスカンと焼肉が同じ店で食べられる」という川崎ならではのラインナップに、五郎が静かに感嘆するシーンは本シーズン屈指の名場面だ。
川崎市八丁畷エリア。JR南武線「八丁畷駅」徒歩圏内。
第9話|ヒロキ 下北沢店(東京都世田谷区)
第9話は下北沢が舞台。五郎が選んだのは、ヒロキ 下北沢店——広島風お好み焼きの鉄板店だ。
五郎が頼んだのはHIROKIスペシャル(そば入り)・タコ広島ネギ焼き・ホタテガーリック焼き。鉄板の前にひとり座り、じっくりと焼き上がりを待ちながら食べる時間は、下北沢という街の喧騒とは対照的な静けさを持つ。「鉄板焼きというのは待つ時間も含めてうまい」——そんな五郎の哲学が滲み出る一話だ。
世田谷区北沢。小田急・京王「下北沢駅」徒歩圏内。
第11話|すみれ(東京都文京区)
終盤に向かうにつれ、Season1は少し落ち着いた空気感のエピソードが増える。第11話で五郎が訪れたのは文京区・千石エリアの居酒屋・すみれ。
「昼間から開いている居酒屋」という設定で、五郎は昼下がりの静かな店内でゆったりとした時間を過ごす。
五郎が頼んだのは特辛カレーライス・鶏の煮込み、そしてメニューにはないサバのサンドイッチ(隠しメニュー)。居酒屋でカレーとサンドイッチという組み合わせの自由さが、「孤独のグルメ」らしい予定調和のなさを体現している。
文京区根津エリア。東京メトロ千代田線「根津駅」徒歩圏内。
第12話|SokaBokka(東京都目黒区)
Season1最終話の舞台は目黒区。五郎が締めくくりに選んだのは、SokaBokkaだ。
中目黒の路地に佇む沖縄料理の店だ。異国情緒あふれる店名と沖縄メニューの組み合わせが、Season1最終話の締めくくりとして鮮やかな余韻を残す。
五郎が頼んだのはアグー豚の沖縄天然塩焼き・にんじんシリシリー・タコライス・ソーキそば——沖縄の定番をひと通り制覇するような注文だ。Season1全体を通じてひとりで食べ続けてきた五郎が、最終話でこれだけ多彩な料理と向き合う姿は、「食べることは生きることだ」というシリーズの根幹を静かに体現している。
目黒区中目黒エリア。東急東横線・東京メトロ「中目黒駅」から徒歩圏内。
エリア別まとめ
Season1の10店は東京の広域に散らばっているが、エリアごとにグルーピングすれば効率よく回れる。
| エリア | 話数 | 店名 | アクセス |
|---|---|---|---|
| 東エリア(江東区) | 第1話 | 庄助 | 東京メトロ「門前仲町駅」 |
| 北エリア(豊島区×2) | 第2話 | 和食亭 | JR・東京メトロ「駒込駅」 |
| 第3話 | 中国家庭料理 楊 2号店 | 東京メトロ「要町駅」 | |
| 西エリア(杉並・中野・武蔵野) | 第5話 | つり堀 武蔵野園 | 京王井の頭線「久我山駅」 |
| 第6話 | みやこや | 西武新宿線「鷺ノ宮駅」 | |
| 第7話 | カヤシマ | JR・京王「吉祥寺駅」 | |
| 南西エリア(世田谷・目黒) | 第9話 | ヒロキ 下北沢店 | 小田急・京王「下北沢駅」 |
| 第12話 | SokaBokka | 東急・東京メトロ「中目黒駅」 | |
| 文京区 | 第11話 | すみれ | 東京メトロ千代田線「根津駅」 |
| 川崎(神奈川) | 第8話 | つるや | JR南武線「八丁畷駅」 |
豊島区エリア(第2話・第3話)と西エリア(第5〜7話)はそれぞれ2〜3店を同日に回れる距離感だ。
孤独のグルメ聖地巡礼のコツ
ひとりで入ることが一番大切だ。五郎の流儀に倣うなら、グループではなくひとりで暖簾をくぐり、メニューをじっくり眺め、食べることだけに集中する。
訪問前に営業確認を。Season1の放送は2012年。10年以上が経過しており、閉店・移転している店舗もある。各店の食べログリンクから最新情報を確認してから出かけること。
平日ランチが理想。聖地巡礼の訪問者が集中する週末を避け、平日の開店直後か14時前後に訪れると、地元の常連客と同じ空気の中でゆっくり食べられる。
注文は店のおすすめを。五郎は毎回その店のウリを直感的に選ぶ。「何が人気ですか?」と聞いてみるだけで、ドラマの世界観に近づける。